人が亡くなった時(1)ベルトコンベアな日

こぼれ落ちダイアリー

父が危篤だと、母から電話を受けたのが明け方の3時ごろ。

夢うつつのダンナをたたき起して、病院に向かう車の中で、間に合わなかったことを知る。

約1時間で病院に到着。

時間外なので、通用門へ。

「あの、さきほど亡くなったと聞いたので…」と受付のおじさんに言うと

「mamaroidさんですね」と即座にかえされた。

そうか。家族がかけつけるから、ここにもそういう患者の情報が共有できるようになっているのか。

…と、妙なところで感心。

エレベータ前で待っていた母と一緒に父の病室へ。

本人の眠る顔をみる。

今まで冷静で、あまり悲しいという感情が湧かずにいたのは、現実味がなかったからなんだな。

なんて、妙なことを考えながら涙があふれ出てきた。

 

1~2分もたたないうちに看護婦さんが

「このたびはご愁傷さまです」という挨拶にはじまり、「最後はあっという間でした」と最後の瞬間をはなしてくれた。

で、また新たな涙を流していると

「ところで、これからのことですが、決まっていらっしゃいますでしょうか?」って。

 

えっ?

 

そーか。

葬儀屋さんに自分で連絡しなきゃならないのね。

「決まってます」

「では、いつごろご遺体を引き取りにいらっしゃる予定でしょうか?」

 

そうだ。

流暢に涙を流している場合なんかじゃない。

「連絡して、聞いてみます」と、母。

生前から加入していた互助会に連絡して段取る。

 

時間を看護婦さんに伝えると

「では、時間まで霊安室に。そこまでご遺体は業者がお迎えにまいります」とのこと。

 

業者?

 

まぁ、よくわからないまま、でも頷くしかないよなぁ。

しばらくすると白衣を着た、見た目は医者と変わらぬ恰好をした男2人が来て、父の眠るベッドをそのまま転がして地下にある霊安室に移動させた。

 

そこで初めて

「わたくし、こういうものです」

と名刺が差し出される。

○○葬儀社

 

そうか。病院の地下にある霊安室は葬儀社が委託されているんだ。

 

そこで素早くお線香やお花が添えられ、簡易的な斎場がつくられた。

お線香をあげて手をあわせて、長椅子に座って葬儀屋さんがお迎えに来るのを待つ。

しばらくすると霊安室を管理している葬儀屋さんが「お迎えがいらっしゃいました」と。

それと同時に、主治医とナース室に電話をかけている。

間もなく、主治医さんと看護婦長さんが見えて、お線香をあげ、車が出発するまで見送ってくれた。

ここで遺体を運ぶ車は見た目は普通のバン。遺体をいれたお棺が動かないようなストッパーがついていたりはしたけれど。

 

 

それにしても、なんか、事務的ですべてにおいて作業チックだなぁ。

ま、病院には大勢の患者さんがいて、病院は治療するところだから、仕方ないか。

それにこんなことは日常茶飯事的な出来事なんだろうから、当然か。

わかっちゃいるけど、さ。

事務的な対応は、冷たさを感じる。

 

 

そんなわだかまりを感じながらも、一路葬儀社へ。

 

 

 

 

 

 

 

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